『上の前歯の間の隙間を何とかして見栄え良くしてほしい』と来院されました。前歯だけ部分的に透明な矯正装置を付けて治す方法もありますが、彼女は『友人とお出かけの際に装置を見られないようにしてほしい』ということで、自分で取り外し可能な装置での治療を希望されました。この女性の歯並びは上の前歯の先端と下の前歯の先端どうしがかみ合っている(切端咬合)ので、このまま上の隙間だけを閉じると上の前歯が後ろに下がりすぎて前歯のかみ合わせが逆のかみ合わせ(反対咬合)になってしまいます。そのようなかみ合わせにならないように、下の歯並びにも取り外し可能な装置を付けて下の前歯を少しだけ後ろに下げながら上の前歯の隙間を閉じました。
右側の写真は治療開始後3ヶ月経過時です。気になっていた上の前歯の隙間は閉じました。元の隙間のある歯並びに戻るのを防ぐ装置(保定装置)として、上下のこの取り外し可能な装置をご自宅で使用していていただきました。この装置を3~4年間ご自宅で使用していただくと、装置をはずしても元の隙間のある歯並びには戻らずに安定します。この間の通院は3ヶ月に1回程度です。『他の奥様に見られずに治ったのでよかったです』とおっしゃっていただきました。
『右上の前歯が前に出てきた、前歯の間の隙間が気になる』といって来院。右上の前歯は歯周病(歯槽膿漏)が急速に進行しており、指で触れるとぐらぐらと動きました。レントゲン写真では歯の周りの骨がほとんどなくなっているのがわかりました。このままでは矯正治療は不可能なため歯周病専門医をご紹介して、歯周病の治療を受けていただきました。
矯正治療開始時、歯周病の治療後に歯の動揺も収まり、レントゲン写真でも右の上の前歯の周りに少し骨が回復しました。歯の表側に部分的に装置を付けて、右の上の前歯の矯正治療を開始しました。
矯正治療終了時(治療開始後8ヶ月)、矯正治療後は気になっていた右上の前歯が後ろに下がり、隙間も閉じました。レントゲン写真では矯正治療後に、右上の前歯の周りの骨がますます回復しているのが分かります。歯並びが元の状態に戻らないように歯の裏側には細いワイヤーの保定装置を付けて、3ヶ月に1回通院して定期検診を受けていただいております。
右下の親知らずにより右下の第二大臼歯が生えられないと近医で指摘され紹介で来院されました。矯正治療開始時、右下の第二大臼歯を某大学病院口腔外科にて抜歯。前に傾いている右下の親知らずを起こして、抜歯した第二大臼歯の隙間を閉じるための矯正治療を開始しました。右側の写真は治療終了時(治療開始後1年8ヶ月)です。矯正治療後は、抜歯した第二大臼歯の代わりに親知らずがきちんとかみ合わせに参加しているので、ブリッジなどの必要がなく一生自分の歯で噛むことが出来ます。