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2016年10月25日(火)
虫歯の穴が深くて神経をとってしまった歯や、歯を何かに強くぶつけて神経が死んでしまった歯は、1~2年後にその歯の色が黄色や黒っぽく変色してきます。
これは、神経と一緒に歯の中にある血管も一緒にとってしまったために(抜髄といいます)、その歯に血液が通わなくなってしまったためです(失活歯といいます)。
神経をとってしまった歯も、矯正治療で移動することは可能です。
変色した歯は、見た目が気になるものです。とくに、矯正治療をすると歯並びや口もとが見違えるようにキレイになりますので、1本だけ変色した黄色や黒い歯があるとすごく目立ちます。
変色した歯の色を改善する治療法は、ご希望により大きく分けると2通りあります。
一つ目は、神経をとった穴の中に薬(漂白剤)を入れることにより、化学反応により白くするという治療(漂白)です。
上の写真では、左上の1番目の前歯(中切歯)の色が漂白により改善しています。(この方は矯正治療は行っておりません。)
もう一つは、変色した歯を削って歯の一部またはすべてを人工の歯に変える治療法です。
上の写真では、矯正治療後に気になる右上の前歯(側切歯)の表面を一層削って人工の歯を表面に張り付けています。
2016年10月22日(土)
最近、お子さんの上下の前歯のかみ合わせが1本だけ逆にかむので診てほしいという相談が2人続きました。
お母様は、お子さんの前歯が逆にかむことで見た目が悪いことを気にされています。
しかし、お子さんの歯を拝見すると見た目以外に重大な症状がありました。
写真のように左の前歯のかみ合わせが1本だけ逆にかむと、大きな上の前歯と小さな下の前歯が強くぶつかってしまいます。これを外傷性咬合といいます。
ちょうどダンプカーと軽自動車が衝突するようなイメージでしょうか。
小さな下の前歯が大きな上の前歯に負けて、下の前歯の歯茎が下がってしまいました。これを歯肉退縮といいます。
このままでは、歯茎が下がった下の前歯の寿命が短くなるというリスクがあります。
そこで、歯の生え代わりの時期(小学校低学年)に、すぐに逆のかみ合わせを治すことで隣の下の前歯の歯茎と同じ高さに回復することができます。
早めの相談、早めの治療はお子さんの利益を生みます。
2016年9月26日(月)
2010年に発表された日本小児歯科学会の全国規模の調査結果から、小学生10人に1人の割合で永久歯が1本以上生まれつき少ないことが分かりました。
赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる間から生まれて9か月くらいの間までに、永久歯のもとになる芽があごの骨の中でできてきます。
しかし、この芽が作られず永久歯があごの骨の中で育たないために、いつまでたっても永久歯が生えてこないことがあります。
これを永久歯の先天性欠如といいます。
先天性欠如の原因はよくわかっていません。
先天性欠如の部位で多いのが下の第二小臼歯(前から数えて5番目の永久歯)や下の側切歯(前から2番目の永久歯)です。
先天性欠如をそのままにしておくと、乳歯が抜けた後に永久歯の欠損している部位に隙間ができます。
この隙間に隣の歯が移動したり傾いたりするため、歯並びやかみ合わせが悪くなります。
歯の本数が左右で異なる場合、かみやすい正常な本数がそろっている側で食物をかむために、小学生や中学生または高校生などの成長期にあごの筋肉やあごの骨の成長に左右差が出ることが懸念されます。
このため顔が曲がったり歯並びやかみ合わせが大きくずれたりして、大人になった時に手術(外科的矯正治療)が必要になる場合があります。
外科的矯正治療はこちら
先天性欠如がわかった場合には、なるべく早めに長期的な治療計画を立てる必要があります。
将来予測される治療法としては、先天性欠如部だけに隙間が存在するように矯正治療で歯並びを整えます。
その後、身長の伸びが止まってから先天性欠如部位をブリッジやインプラントで補う方法があります。
あごの骨の成長がある時期にブリッジやインプラントによる治療をしてしまうと、この部位の成長を抑制してしまい、かえって残りの歯並びに悪い影響を及ぼします。
また、ブリッジやインプラントをせずに、矯正治療だけで先天性欠如の隙間を閉じることも可能です。
一般的な矯正治療は健康保険が適用されませんが、6本以上の先天性欠如には健康保険を適用して矯正治療を受けることができます。
2016年9月14日(水)
前歯のかみ合わせが逆の歯並び(受け口/反対咬合)を小学生や中学生で治した後、
中学生や高校生になるころに治療前の逆のかみ合わせに戻ってしまう場合があります。
成人になってから、前歯のかみ合わせと口もとの見た目を気にされて再治療を希望される患者さんが時々来院されます。
この後戻りの最大の原因は、身長が大きく伸びたこと、つまり成長により下あごが大きくなったことによります。
上あごと下あごは活発に成長する時期が少し異なります。
赤ちゃんの顔を思い浮かべていただくと、どの子も丸い顔をしています。
生後7か月くらいから歯が生え始めて、2歳半頃に乳歯の歯並びが完成するとともに上下の歯を使ってかむことで、あごの周りの筋肉とあごの骨が成長して丸い顔が面長になってきます。
この成長は、脳に近い上あごが先に大きくなった後に、下あごが大きく成長するという原則に従います。
下あごが大きく成長する時期は、思春期の成長期です。
身長が1年間に10㎝伸びると下あごは約6mm伸びることが知られています。
これはあくまで平均値ですから、これを大きく上回るほど下顎が伸びる患者さんも存在します。
下あごがどれくらい伸びたかにより、再治療の方法は2通りあります。
写真の治療例は下あごの伸びが極端に大きくなかったので、通常の歯を移動する矯正治療でかみ合わせと口もとの突出感を改善することができました。
下の奥歯(第一大臼歯)の根の先に膿がたまっていたので、この奥歯を左右各1本抜いて隙間を作ることにより下の前歯を後ろに下げました。
成人で装置が見えないように治療をご希望されたので、写真のように裏側に装置をつけて2年9か月間で歯再治療を行いました。
一方、下あごの伸びが大きくて上の前歯よりも下の前歯が前に出すぎている場合は、通常の矯正治療では再治療が不可能なために、矯正治療と手術を併用する外科的矯正治を受ける必要があります。
通常の矯正治療は健康保険が適用になりませんが、外科的矯正治療の場合は指定された医療機関で治療を受ける場合は健康保険が適用されます。
再治療を希望される患者さんは、歯並びとかみ合わせのずれの程度、上あごと下あごのずれの程度や口もとの突出感をどれくらい改善したいかにより、治療法を選択することになります。